2015年6月9日火曜日

甲南心理臨床学会第18回大会


Ⅰ.第18回大会案内

甲南心理臨床学会第18回大会特別講演「 現代の思春期について考える―子どもの思春期、大人の思秋期― 」(PDFファイル)は、思春期臨床に携わる会員でない心理臨床関係の方々、医師、教育関係の方々にも公開されています。

甲南心理臨床学会第18回大会 特別講演

現代の思春期について考える

―子どもの思春期、大人の思秋期―


  甲南心理臨床学会第18回大会では、岩宮恵子先生を講師にお迎えして、現代の思春期についてご講演いただくこととなりました。当日は質疑応答の時間も充実したものとなる予定です。スクールカウンセリングを中心とした岩宮先生の臨床実践から得られた知見をうかがうことのできる、大変貴重な機会です。今回の講演を、より多くの皆様に共有していただきたく、特別講演のみ、思春期の教育に携わる会員以外の心理臨床家、また医師・教員の皆様にもご参加いただける企画といたしました。岩宮先生への質問と共に、多くの方のご参加をお待ちいたしております。
講  師:岩宮 恵子先生(島根大学教育学部教授・臨床心理士)

講師より: 社会の変化にもっとも敏感なのは思春期の子どもたちです。ドッグイヤーと言われるほどに、一年が7倍の早さで変わっていくという未だかつてない時間の流れのなかで彼らは大人になっていっています。普遍的な思春期のテーマは間違いなく彼らの心の古層で動いていますが、社会の変化の早さが彼らに与えている影響はかなり大きいものがあります。そんな現代の思春期と、その親の世代の問題を具体例を通して考えてみたいと思います。



日     時:2015年72610:3012:30 受付開始10:00 


場  所甲南大学 甲友会館神戸市東灘区岡本8-9-1 甲南大学西門より徒歩1分)


参加資格:臨床心理士または臨床心理士を養成する指定大学院の学生、教育関係者


会  費:3000円



申し込み: 郵便振替にて、76日(月)までに、以下の口座に会費3000円をご入金ください。入金をもってお申し込みの完了とさせていただきます。入金の際、通信欄に、①氏名 ②臨床心理士番号または所属大学院名 もしくは医師・教員免許番号と所属をご記載ください。なお、申し込みをされた方へ、事務局から受付確認等の連絡はいたしませんので、当日は、郵便振替の控えをお持ちください。
   加入者名甲南心理臨床学会
   口座番号00960-9-312606
 問合せ先:konan.shinri@gmail.com
※当日は、岩宮先生のご著書などの割引販売を行う予定です。

●○ プログラム ○●
日 程                  2015726日(日) 
受 付                  1000                               (甲友会館ロビー)
シンポジウム  10301230                      (甲友会館)
総会                     12301300                       (甲友会館)
分科会      14001700                           18号館)
懇親会      1730~(予約参加のみ)

※総会以降午後のプログラムは甲南心理臨床学会会員用です。
※研修証明書は分科会終了後、配布いたします。
※シンポジウムは甲友会館で開催します。


Ⅱ.分科会・シンポジウム紹介

1. シンポジウム 

「現代の思春期について考える―子どもの思春期、大人の思秋期―」        


シンポジスト 岩宮恵子先生(島根大学教育学部教授)
司 会 新道賢一

【岩宮先生より】

 社会の変化にもっとも敏感なのは思春期の子どもたちです。ドッグイヤーと言われるほどに、一年が7倍の早さで変わっていくという未だかつてない時間の流れのなかで彼らは大人になっていっています。普遍的な思春期のテーマは間違いなく彼らの心の古層で動いていますが、社会の変化の早さが彼らに与えている影響はかなり大きいものがあります。そんな現代の思春期と、その親の世代の問題を具体例を通して考えてみたいと思います。

.分科会



(1)「事例検討①:思春期における死のテーマ18号館3階 講演室)


講 師岩宮恵子先生島根大学教育学部教授

司 会 長野真奈 
事例提供 南部勝彦
 

 思春期は、子どもとしての自分が死に、大人として生まれ変わる時期である。だからこそ、思春期は大変なのである。もちろん、子どもとしての「死」が心の奥深いところで進んで、表面的には「死」のテーマがまったく出てこないひともいる。
 しかし、最近は心理的に子どもとしての死を迎えることなどなく、子どもの意識のままで成人になり、親になり・・という人が増えてきているように思う。子どもの意識のままで年齢だけが大人になっていくひとが増えてくると、一方でまるでそれを補償するかのように、個人で引き受けるのには厳しすぎる子どもとしての「死」のテーマを背負う人たちも増えてきているように思う。
 この分科会では、厳しい症状によって思春期の死のテーマを生きざるを得なかったケースを深く理解するなかで、現代の思春期について考えていきたい。




(2)「事例検討②」(18号館2階 演習室1


講師 高橋年道先生(神戸市立医療センター中央市民病院)

司会 定政由里子
事例提供 西村輝明

 ロールシャッハテストは扱う変数が多い心理検査です。たとえば、初発反応時間、W%F%、体験型、コンテントレンジ、形態水準のいくつかの指標、などなど…

 これらの比率・割合のそれぞれが、なんらかの仮説に結びついていますが、変数の多さのために、ある割合が示す仮説が、別の比率が示す仮説と矛盾しているように思える、そんなこともしばしばあります。その場合、その比率、割合のどちらかが正しくどちらかが間違っている、と考えるよりもその矛盾(のように見える点)をもう一度もとの反応に戻って見直して、矛盾の由来について考えることが、検査結果のより深い理解につながるのではないか、と考えています。
 

 今回は、みなさんとご一緒にロールシャッハ検査の結果を検討する機会を与えられましたので、検査のデータを提供していただき、上に述べたようなことも意識しながら参加される方々とディスカッションできれば、と思います。


(3)「臨床現場で活かす人間関係トレーニング-ファシリテーションを考える-18号館1階 心理臨床カウンセリングセンター和室)

講師星野欣生先生(南山短期大学名誉教授) 
司会安藤順子

 “安心、安全”が保証されない私たちの今の社会。そのひずみを背負うかのように、さまざまな事件が目白押しに私たちを襲ってきています。人と人のかかわり方が目まぐるしく変わっていく中で、戸惑っている私たち。人と人のありようを問いなおす人間関係トレーニングが求められている所以でもあります。人間関係トレーニングは「体験学習」をベースにしたトレーニングです。1946年にアメリカでスタートしたもので、自己理解,他者理解,集団理解や人間関係づくりに有効です。その学習過程は「ファシリテーション」を考え、うながす過程でもあります。人を相手にする臨床の現場では、さまざまな場面で活用できるものと考えています。この分科会では、皆さん方に具体的に「体験学習」を体験していただきながら、「体験学習」とは何か、その理解と応用を一緒に考えていこうと思っています。楽しく過ごせる時間にしたいものです。


(4)「認知行動療法入門」(18号館2階 演習室2

講師大澤香織先生(甲南大学文学部准教授) 
司会新道賢一

20104月より,わが国におけるうつ病の治療として,「認知療法・認知行動療法」が健康保険の適用対象となりました。このことをきっかけに,病院臨床を中心に認知行動療法に対するニーズは高まっています。ここ関西においても,認知行動療法について学ぶ機会が増えてきました。私のゼミの院生たちも,積極的に勉強会や研究会に足を運んでいます。しかし,現場の心理士さんたちが認知行動療法に触れる機会はまだまだ少ないようです。

 この問題を少しでも解決すべく,当日は認知行動療法の基本についてお話させて頂きます。認知行動療法における基本的な考え方やコミュニケーションの取り方,うつ病等で用いられている代表的な技法などをいくつかピックアップしてご紹介できればと思っています。可能なら,簡単なワークも行います。参加者の皆さんに,少しでも「これなら現場で使えるかも」と思って頂けるような分科会にしたいと思っています。

2014年5月16日金曜日

甲南心理臨床学会第17回大会

甲南心理臨床学会第17回大会特別公開シンポジウム「心理臨床の基礎と訓練」(pdfファイル)は、会員でない心理臨床関係の方々にも公開されています。


Ⅰ.あいさつ

会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。私方、昨年度一年間、在外研究のためにドイツに滞在しておりました。いろいろと新鮮な体験もありましたが、逆に、懐かしい気持ちも体験しました。その一つは、読書習慣です。若者でも読書が余暇の楽しみ方の上位に位置し、本屋には、おびただしい数の新刊本が並びます。それも日本のように、新書中心の出版ではなく、文字がみっちり詰まった重厚な本がよく読まれているようです。日本が活字離れ先進国であるにすぎず、ドイツもいずれ活字離れが進むのかもしれません。子どもがゲームに熱中するのが問題になっていたり、スマホの普及も日本以上かもしれないところからすると大いにありうる話です。しかし、今現在の差異を体験したことで、活字文化を取り戻すことが私たちの大きな課題であることをあらためて認識できました。今が活字離れ先進国なら、この先、活字復活先進国にもなれるわけですから、読書習慣の復活を目指していきたいと決意を固めた(というとおおげさですが)次第です。 まだ帰国から間もないためこんな話になってしまいましたが、在外中に学んできたものをこれから日本で還元していきたいと思っています。今回は、復帰のあいさつで巻頭言に代えさせていただきました
会長 森 茂起

Ⅱ.第17回大会案内

下記の通り、甲南心理臨床学会第 17 回大会を開催いたします。今大会は、シンポジウムに成田善弘先生と横山博先生をお招きして「心理臨床の基礎と訓練」というテーマでお話しいただくことになりました。先生方のお考えをうかがうことのできる大変貴重な機会です。この機会をより多くの方と共有できるように、特別企画として甲南心理臨床学会の会員以外の心理療法家の方々にも参加の門戸を開くことになりました。チラシを同封いたしますので、職場、またはお知り合いに広くお知らせいただき、皆様お誘いあわせの上、ご参加ください。どうぞよろしくお願いいたします。 分科会では、さまざまなテーマについて事例検討が行われます。臨床スキルの向上のためにも、是非ご参加ください。なお、運営の都合上、分科会は受付での先着順とさせていただきますので、お早めにご来場ください。


●○ プログラム ○●


日 程 2014 年 7 月 13 日(日) 
◆受 付 10:00~ (18 号館ロビー) 
分科会 10:30~12:30 (18 号館)
シンポジウム 13:30~16:30 (1 号館 4 階 142 教室) 
総会 16:30~17:00 (142 教室) 
懇親会 17:30~(予約参加のみ) 

※今回は、分科会が午前、シンポジウムが午後となっております。 ※ランチセミナーは開催いたしません。昼食は各自でお済ませください。 ※研修証明書は総会後、配布いたします。

Ⅲ.分科会・シンポジウム紹介 

1.分科会

(1)「事例検討①」 (18 号館 3 階 講演室)

講 師 成田善弘(成田心理療法研究室) 司 会 森 茂起(甲南大学文学部 教授) 思春期以降、成人の患者に言語面接を行った事例について、検討します。患者の言動だけでなく、治療者の感じたことや考えたこと、そしてそれに基づいて、どう介入したかを述べて頂きたいと思います。そこから心理療法の過程で何が起こったかを明らかにしていきたいと思います。 事例提供者:高島光恵 ※先着 50 名まで(受付での先着順になります。)

(2)「事例検討②」 (18 号館 2 階 演習室 1)

講 師 横山 博(甲南大学文学部名誉教授・ユング派分析家) 司 会 徳岡香織 私はユング心理学、精神医学を専攻としていますので、コメントはその立場からになります。とりわけユング心理学はイメージを大切にします。人間のこころのうごめきはすべて言語化出来るとは限りません。文学や神話、昔話も文字で書かれたものの背後にそれに伴うイメージの世界があります。私は発表された事例を通して、そのクライエントの人生の物語をイメージも含めて捉えてコメントしたいと思います。クライエントのこころの病とは、その人個人の個性化過程で重要な意味を持った症状を示しています。そのことについて事例を通して、皆さんと共有し討論出来たらよいと思います。事例に夢や、箱庭、描画などが含まれればよいとは思いますが。べつにこだわりません。何故なら症状そのものがその人のこころの持つつらさの象徴的表現だからです。 事例提供者:長田岳大 ※先着 30 名まで(受付での先着順になります。)

(3)「バウムを生かす事例検討会」 (18 号館 2 階 演習室 2)

講 師 鶴田英也(神戸女学院大学 准教授)司 会 児玉佳子 周知のように、Koch, K が 1949 年に発表したバウムテストは現代の心理臨床の中でも最もよく使われる投影描画法であり、また基礎・調査研究から事例研究まで、非常に多くの研究の対象にもなっています。しかし実際のところ、私たちは日々の臨床において、バウムの恩恵というものを一体どこまで享受できているのでしょうか。 バウムは投影法と言われていますが、この投影法であること自体のうちに、豊かな治療的可能性が秘められていると同時に、逆にそれを損なう可能性も秘められており、そうしたバウムを生かすのも殺すのも、セラピストのかかわりの姿勢に委ねられていると、私は考えています。 この分科会ではまず、そうしたバウムを臨床に生かすためのセラピストの基本姿勢について簡単にお話したいと思います。次に、発表していただく事例の中で描かれているバウムについてのイメージワークをしながら、バウムを事例に生かしていく試みをみなさんと共有したいと思います。 事例提供者:長野真奈(京都女子大学学生相談室) ※先着 20 名まで(受付での先着順になります。) 2. シンポジウム 「心理臨床の基礎と訓練」 (1 号館 4 階 142 教室) シンポジスト 成田善弘(成田心理療法研究室) 横山 博(甲南大学文学部名誉教授 ユング派分析家) 司 会 田中美香(隈病院) 【成田先生より】 心理臨床の基礎となる心理療法をどう学ぶかについて、私自身が学んできた経験を振り返って、また教育やスーパービジョンに携わった経験を踏まえて、次のいくつかの点について述べます。 ①心理臨床家を志す ②文献、書物から学ぶ ③ケース・カンファレンスから学ぶ ④スーパービジョンから学ぶ ⑤患者から学ぶ ⑥師から学ぶ ⑦論文を書く 以上のほかにも、日々生きること自体が心理療法を学ぶことにつながります。自分の人生を誠実に生きてゆくこと、そこで感じたり考えたりすることに自覚的であること、そしてそれを人間理解に結びつけてゆくことが大切であると思います。 【横山先生より】 成田善弘先生と甲南大学心理臨床学会で、このような形でシンポジウムを持つことが出来ることを光栄に思います。私と成田先生とは、個人的な付き合いが特にあるわけではありませんが、人文書院発行の成田善弘・氏原寛編の心理療法についての一連のシリーズに何度も執筆させていただき、私の在籍時代、院合宿にも1度来て頂いた、私の最も尊敬する精神科医の一人です。成田先生は対象関係論で、私はユング心理学が中心でありますが、対象関係論も、ユング心理学もともに治療者とクライエントとの関係性を重視するところでは共通のものがあります。もっとも心理臨床の基礎とは、病めるクライエントの訴えを謙虚に聞き入ることが基本中の基本で、心理療法が決して教育ではなく、クライエントの変容の場所であるということを浮かび上がらせるシンポが出来ることを期待しています。

2013年6月11日火曜日

甲南心理臨床学会第16回大会

Ⅰ.あいさつ

  皆様いかがお過ごしでしょうか。私事になりますが、私は、甲南大学から在外研究の機会をいただいて、平成25年度の1年間、ドイツのフランクフルトにあります、Sigmund Freud Institute(SFI)という研究所に滞在しています。まだ滞在が始まったばかりで、十分状況を把握できているわけではありませんが、本研究所では、精神分析、あるいは精神分析的心理療法、さらには精神分析的オリエンテーションをもった幅広い介入実践に対して、効果の実証研究が盛んに行われています。いわゆるエビデンス・ベーストの潮流に対して、精神分析的アプローチからも対応していこうとする姿勢がうかがえます。しかもすでに10年以上にわたるそのような努力が重ねられているため、その課題は、ある意味当然のこととして受け止められています。